もりのおうち

心配性だけど時々楽天的。アメリカ在住の30代。

あのこは貴族 (2019)

山内マリコさんの『あのこは貴族』を読みました。とても読みやすくて、最近全く集中力のない私でも、買ったその日に読み終わりました。面白かったです!

以下、内容に触れています。

 

あらすじ

東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが20代後半で恋人に振られ、焦ってお見合いを重ねた末にハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。結婚をめぐる女たちの葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

 

心に残った箇所

◯ああ、日本は格差社会なんじゃなくて、昔からずっと変わらず、階級社会だったんだ。つまり歴史の教科書に出てくるような日本を動かした人物の子孫は、いまも同じ場所に集積して、この国を我が物顔で牛耳っているのだ。

◯世の中にはね、女同士を分断する価値観みたいなものが、あまりにも普通にまかり通ってて、しかも実は、誰よりも女の子自身が、そういう考え方に染まっちゃってるの。(略)男の人はみんな無意識に、女を分断するようなことばかり言う。

 

私が25歳の時、26歳の男性の同僚に、世間話として、「俺、男女不平等を訴える女性が大嫌いなんだよね」と声をかけられたことがある。「管理職や議員数が女性の方が少ないって新聞て騒いでたりするけど、そもそも男性ほど管理職や議員を目指す女性いないよね?同じ母数が努力してないのに、結果だけ見て不平等っていうのおかしくない?」というのがその人の意見だった。

そのことを当時付き合っていた彼(今の夫)に伝えると、「同じ人数だけ目指さない、目指せていない環境にあることが不平等を表してるって話だよね」と戸惑ったように言われて、この人が恋人で良かった、と心から思ったのを覚えている。

また、25歳の時、仕事関係の、私の年齢を知った男性から、「クリスマスケーキだね!」とニヤニヤして言われて、「クリスマスケーキは23日は予約がいっぱいで、24日は売れ時、25日も売れるけど、その後は急に価値が落ちてもう売れなくなる。」と…。

女性だけにはクリスマスケーキの法則があるという話でした。笑って流してしまったけど、その時はそんなことを突然よく知らない人に言われて傷ついてしまったのでした。

厄介なのは、こういうことが起きたり、フェミニズム女が嫌い、とかいう攻撃的な言葉を目にしたとき、傷ついてはいけない、という咄嗟の変な考えが無意識に根付いていることだと思う。

傷つかない振りして、笑ってヘラヘラと流してきてしまった。傷ついたら、やっぱり女性はめんどくさい、と思わせてしまうことが怖いような、そう思われたら女性全体に申し訳ないような、変な意識がどこかにあった気がする。

でも、本当は傷ついたときは、傷つきますよと冷静に返して対話に繋げることを試みても良かったんじゃないかと今は思う。

男性も女性も、一緒に生きやすくなるためには、対立関係じゃなく、同じ目線で立って模索することが基本になると思うから。

過去の各発言をした彼らは今も元気にやっているのだろうか…。今も同じようなことを女性同僚に言っているのだろうか。